技術サービス紹介
2026.03.30
研究者から持ち込まれる試料の大半は「可溶」だそうです。
※セラミックや白金族合金等の難溶解性試料では、処理設備や技術の有無によって「不溶」対応となるケースもあります。
したがって、何をどのように分析するのかという点から「溶かす/溶かさない」を判断する方が重要と思われます。
1)分析目的(〇〇試料の××という情報を得たい)
2)分析実務者側(受託部署・研究基盤設備)の事情
1)の例として分析機器の選択フローを図で示します。

無機固体試料の元素分析では、目的に応じて固体のまま分析するか、溶液化して分析するかの判断が分かれます。
2)としては
*放射性元素を含有している試料は対応不可(管理区域内の設備で行う必要)、
*Os、Tl、Hg等を含有している試料は対応不可(固体のままでの分析は応相談)
などがありますので、確認が必要です。
具体的な例 金属成分をICPで分析
【1:酸溶解(開放系加熱)】Mn酸化物系電極材料の分析
試料・目的:充放電前後の電極材料粉末。組成変化が知りたい。
分析成分 :Mn(主成分)、アルカリ金属・アルカリ土類金属(微量成分)
処理概要 :ガラスビーカーに秤量
→ 塩酸を添加してヒーターで加熱溶解(100℃、30分)
→ 定容・ICP測定
【2:酸分解(マイクロ波加熱)】フッ化物シンチレーター材料の分析
試料・目的:希土類・アルカリ土類フッ化物の粉末。
仕込み組成からの差異と微量汚染元素の有無が知りたい。
分析成分 :Ce・Eu・Ca・Sr等(主成分)、Fe・Nd・Sm等(微量成分)
処理概要 :マイクロ波加熱分解装置を使用。専用の樹脂製容器に秤量
→ 硝酸を添加して密閉加熱(200℃、40分)
→ 定容・ICP測定
備考 :本処理では吸光光度法等でFも分析可能。
(【1】開放系処理ではFが揮散損失するため定量不可。)
【3:融解処理】Ru合金材料の分析
試料・目的:合金線材の切断片。仕込み組成からの差異と微量汚染元素の有無が知りたい。
分析成分 :Ru・Mo等(主成分)、Fe・Zr・Ta等(微量成分)
処理概要 :アルミナ坩堝に秤量
→ 過酸化ナトリウム・炭酸ナトリウムと混合して電気炉で加熱溶融(600℃、120分)
→ 溶融生成物を塩酸・フッ酸に溶解
→ 定容・ICP測定
なお、【1】~【3】の特徴を大雑把に比較すると以下の通りです。
*試料分解力 :弱【1】<【2】<【3】強
*処理難易度 :易【1】≒【2】<【3】難(操作手技、安全性)
*処理コスト :安【1】<【3】<【2】高(装置導入費、処理効率)
*微量成分分析:易【2】>【1】>【3】難(坩堝や融剤、室環境からの汚染)
参考:
鉄鋼試料:JIS規格番号G1258-1(酸溶解-ICP分析法)
検量線用標準液に使用する各種金属(Cr、Ni、Cu等)の酸溶解方法やICP-OES測定条件も記載