ピックアップ
2024.06.17
令和 5 年度東北大学総合技術部技術職員研修で電気通信研究所 研究基盤技術センター評価部の丹野健徳技術専門職員よりIoT機器を用いてのリモート化技術の発表がありました。
題目:IoT 機器を用いた遠隔での設備監視
-Raspberry Pi を用いたヘリウムガスバッグの監視-
部局:電気通信研究所 研究基盤技術センター 評価部
氏名:丹野健徳、柳生寛幸
リモート化概要
1. はじめに
モノのインターネット(IoT, Internet of Things)の導入・活用が様々な分野で進んでいる。様々なモノにセンサーや通信機器を取り付けて、遠隔地のデータを利用者が移動することなく収集し活用できる。大学や研究機関でも、実験設備の遠隔監視等に利用されている[1, 2]。
電気通信研究所でも、ヘリウムガス回収設備の日常点検・緊急時対応にIoT による遠隔監視を
導入しており、2022 年3 月16 日に発生した福島県沖地震災害によるヘリウムガスバッグの破損を発見できた[3]。
2. IoT機器の構成
当研究所では、人手不足解消と災害時の安全確認のためにIoT 機器による遠隔での設備監視を導入している。これまでに、ネットワークカメラによるヘリウムガスバッグの監視、Raspberry Pi 4B とUSB カメラの組み合わせによるヘリウムガス回収設備の計器監視を導入した[3]。
さらに、Raspberry Pi Zero2Wと距離センサーを組み合わせたヘリウムガスバッグの充填率の監視を新しく導入した。各IoT 機器の構成および監視状況を図1 に示す。
Raspberry Pi Zero2W と距離センサーの構成は図2 に示す。距離センサーとしてはToF(Time of Fly, 飛行時間)方式の距離センサーを用いており、プローブとして超音波を用いるHC-SR04 とClass1 のレーザーを用いるVL53L1X の2 種類を使用した。
3.測定結果の保存と表示
Raspberry Pi 上で動作するPython でプログラムを記述してセンサーからデータを取得した。
1 分毎にプログラムを実施するようにcron を用いて設定しており、データはcsv 形式でRaspberry Pi 内に保存される。また、測定と同時に測定値をGET 送信して、Google ドライブ内のスプレッドシートにも同じデータが保存されるようにした。
測定したヘリウムガスバッグの充填率は、一目で確認できるようにGoogle Apps Script を用いてグラフとして表示させた。
参考文献
[1] 上田雄也ほか, 回収ヘリウムガスの遠隔監視システムについて~運用開始から2 年間の報告~,
九州大学 低温センターだより, 2017, No.11, p.30-33.
[2] 浅田瑞枝ほか, ヘリウム純度計監視システムの紹介, 令和3 年度核融合科学研究所技術研究会, 2022, p.109-111.
[3] 丹野健徳ほか, IoT を用いた実験設備の遠令和4 年度東北地区国立大学法人等技術職員研修技術, 2023.